労働保険とは

「労災保険」「雇用保険」の総称です。
事業主は、雇用している労働者が病気や仕事上の負傷により休業や死亡した場合、療養・休業・障害・遺族補償等を行う責任があります(労基法75~88条)。
労災保険はこれらの補償をするための国の保険です。

労災保険

事業主特別加入

事業主が労働者を1人でも雇用したら労災保険の強制適用事業所とされ、事業主はその事業所に労災保険をかけることが義務づけられています。年間の請負工事額等によって保険料を計算します。

年間保険料(保険料は全額事業主負担)
例)建築事業で年間請負工事が3,000万円の場合

3,000万円 × (23/100) × (9.5/1000) 
= 65,550円 (年間保険料)

※別途手数料がかかります。

事務手数料

労働保険料の申告や、労働監督署及び公共職業安定所への手続き等煩雑な事務処理を組合に委託することができます。
別途手数料がかかります。

事業主・一人親方の特別加入

組合で手続きすれば特別加入ができます。一人親方労災は日額6,000円のみを取り扱っています。事業主・一人親方の特別加入労災は全国どこでも適用されます。

保険料の計算方法

保険料 = 保険料算定基礎額(給付基礎日額 × 365日) × 保険料率

保険料率と年間保険料の例
建設業一人親方事業主特別加入保険料
建築事業既設建築設備工事業
保険料率17/10009.5/100012/1000
年間保険料例)給付基礎日額
25,000円の場合
86,687円109,500円
例)給付基礎日額
6,000円の場合
39,030円20,805円26,280円

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特別加入健康診断

新規に特別加入を希望する中小事業主および一人親方について、特別作業従事者(粉じん、振動、鉛、有機溶剤等を扱う)は加入前に健康診断を受ける必要があります。

事務取扱手数料

労災保険には事務取扱手数料が別途かかります。

一人親方労災加入者には加入者証を発行します

一人親方労災加入者証

中小事業主及び一人親方労災の主な給付内容

療養補償

傷病が完全に治癒するまで全額無料です。

休業補償

休業4日目から一定の条件のもと、1日につき給付基礎日額(平均賃金)の8割が休業期間中支給されます。
待機期間の3日間は事業主が平均賃金の60%を補償(通勤災害を除く)します。
ただし、休業中も賃金が支給される場合は、支給されません。

傷病年金

療養給付を受けている者が、療養開始後1年6ヶ月経過しても治らず、
傷病等級(1級~3級)に該当した場合に支給されます。

障害補償

療養給付を受けている者が、療養開始後1年6ヶ月経過しても治らず、
傷病等級(1級~3級)に該当した場合に支給されます。

遺族補償

労働者が業務上の事由又は通勤により死亡した場合に、遺族に年金、一時金が支給されます。

葬祭料

給付基礎日額の30日分+315,000円、または給付基礎日額の60日分のいずれか多い方の額が支給されます。

介護補償

程度に応じて支給されます。

労災保険

強制加入事業と元請け責任

労働者を1人でも使っている場合は労災保険の強制適用事業所とされ、事業主はその事業所に労災保険をかけることが義務づけられています。年間の請負工事額等によって保険料を計算します。

年間保険料(保険料は全額事業主負担)

保険料は全額事業主負担です。業種によって、次の方法で年間保険料を計算します。

保険料の計算方法

建設、設備、舗装等

年間請負工事額 × 労務比率 × 保険料率

建具、畳、鉄骨、石材、測量等

年間支払賃金総額 × 保険料率

労務比率
建築事業23/100
既設建築物設備工事業23/100
その他の建築事業24/100
保険料率
建築9.5/1000
土木15/1000
設備12/1000
建具14/1000
石工26/1000
畳・表具6.5/1000

雇用保険

労働者を1人でも雇っている事業所は適用事業所となり、そこで働いている労働者が被保険者となります。
保険料は事業主と従業員がそれぞれの割合で負担します。

令和5年度の雇用保険料率
負担者①労働者負担
(失業等給付の保険料率のみ)
②事業主負担①+②
雇用保険料率
失業等給付
の保険料率
雇用保険二事業
の保険料率
一般の事業6/10009.5/10006/10003.5/100015.5/1000
建設業7/100011.5/10007/10004.5/100018.5/1000

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※1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上引き続きの雇入の見込みがある方は、雇用保険に加入する必要があります。